介護士から見たユマニチュード
ユマニチュードは正当な技法
ユマニチュードを知る
「ユマニチュード」というケア技術を知っていますか。私自信一冊の本(「ユマニチュード入門 / 本田美和子」)との出会いで「ユマニチュード」を知りました。これは体育学の専門家のイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが医療スタッフや患者へのケアに携わるなかで生み出され確立していった技法です。

介護の勉強をしたことのある人にしてみたら、決して格別に斬新・目新しいことはありません。「介護とはこうあるべき。」「患者に接する時は・・・」という記述に、もっともなことだ、と同調することが多くありました。
介護する側の気持ちを患者に向ける、当たり前と思うことでも実際出来ている人・出来ていない人がいるというのも今の介護の現状だとも思っています。
「ユマニチュード」は一見、思想論と感じてしまうかもしれませんが決してそうではありません。(どんな介護士さんでも)どこかで、ケアはこうでなくてはならない!と思っているのに、書籍の文中のように悪い介護例になってしまっていることがあり、それを正す技法として介護の質を標準化させる為に文章化し、正当な技法としてユマニチュードが普及していっているように感じます。
欧州の看護大学ではカリキュラムに組み込まれており、日本でも認知症ケアで今注目のケア技法となっています。
患者にとっての最良の介護を提供できていない

患者を思ってのケアが当たり前のように身についている介護士もいれば、それができていないことに気付けないまま今の自分の介護が普通である・ベストの介護だと思い、患者にとっての最良の介護を提供できていない、という介護士もいると思います。
認知症ケアとユマニチュードが結びつくのはここだと思います。
介護する側主導の介護が存在しているからこそ、ユマニチュードが成り立ち、介護の現場の忙しさや大変さがユマニチュードをつくったのではないか、と感じてしまったのです。
認知症のケアは時間に追われること、どこか自分で対応しきれない症状だと思ってしまいことがありがちです。自分のキャパオーバーなことをこなすために、介護する側主導の介護がおこってしまうのです。
ユマニチュードを実践し、認知症の人ともコミュニケーションをうまくとれて和やかに円滑にケアができたという実績が数多くあります。認知症の人にとっても介護する側にとっても、負担が軽くなるということです。
ユマニチュードは、これから仕事として介護をする人、認知症の家族を介護する人にとっての介護の入門書として知ってもらいたいです。すでに介護に携わっている人にとっては、自分のケアを見直すきっかけになってほしいと思います。